「ハッフルパフにスリザリン顔の先輩がいるらしい」
なんていう噂を耳にしたことがあった。
特に仲良くなりたいと思った訳では無いが、そんな人がいるなら1度話してみたいものだ。
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とは思ったが、まさか女性だったなんて...!
いや、スリザリン顔だからといって男性だと決めつけていた僕の方が時代遅れであり、考えを改めなくてはならないのは間違いないんだが、なんだか騙された気分だ。
男性なら肩を組み合って互いを慰めようと思っていたが、女性だというのなら話は別だ。
女性が嫌いだとかそんな話ではなく、ただ単に僕の口下手故に女性を傷つけるわけにはいかないのだ。
そんなうじうじしたことを考えていたこともまだ記憶に新しい。

ところで、僕がなぜこんなどうでも良い話をしているか分かるだろうか。

突然話が変わるが、僕には今悩みがある。
それは、、それは、

「あーーーー、誰か止めてーーーーーーっ!」

それは、例のハッフルパフ生に妙に懐かれていることである。



「で、この前の話なんだけど」

僕の嫌そうな顔なんて気にも止めず、彼女はいつもの双子の話を怒りながら話している。
怒りながら、とは言ったものの、口角は緩みきっており、何だかんだ2人の事を大切に思っていることが分かる。

今、微笑ましいことのように話したが、ここだ、ここが悩みの種なのだ。

ただのスリザリン顔の先輩というだけだったら別にそれほど問題は無いのだ。
そもそもなぜ彼女に懐かれたかというと、彼女と僕には共通点が多いことが一番大きいだろう。

飛行術に苦戦し、来る予定ではなかったところに来てしまい、どうしようかと思っていたところ、同じく飛行術が苦手だという彼女と空の上で出会ったのがファーストコンタクトであったと思う。

そこから例のスリザリン顔が先輩であったこと、魔法よりもマグルの文化に興味があることなど、たくさんの共通点がぼろぼろと溢れ出てきた。

そんなこんなで親近感が湧いたのか、廊下で顔を合わせれば他寮の後輩である僕にわざわざ声をかけに来るようになったのである。

もちろん話しかけられるのが嫌という訳では無い。むしろ僕みたいなのと仲良くしようと思ってくれてるのは嬉しいのだが、如何せん彼女にはパートナーの男性フレッド・ウィーズリー先輩がいるのだ。
いつもはニコニコしていて双子のジョージ先輩と悪戯をしているだけの僕にとっては無害な人なのだが、彼女、トウドウ先輩が仲介すると話は別だ。
いつものヘラヘラニヤニヤは何処へやら、僕の大切な人に手を出すな、と言わんばかりの顔になる。僕が意識しすぎて思い込んでいるだけなら申し訳ないが、これがあるからトウドウ先輩とはあまり関わりたくないのだ。

「なぁ、聞いてるかい?」さっきから適当な相槌うってるだけだろう。と頬を膨らませた先輩が僕の顔を覗き込んだ。後ろにはオレンジ色の影。

っっばっっっっっっ!

パシっと彼女の肩を押し返して遠ざける。

「何なに、楽しい話なら僕も入れてよ」と楽しそうに言ってはいるが、僕に向けられた目は全く笑っていなかった。

「僕急に下痢になったんでお暇しますね!」じゃあまたと言って強引に走り去る。

この日の夜、1人の人相の悪い男は思った。
「もうあの人が話しかけてきても全部下痢のふりして逃げるぞ、、」勘違いされたら溜まったものでは無いからな、。

3度「下痢」を言い訳に後輩に逃げられた女は思った。
「私、もしかしてウザ絡みして、嫌われてる...?」なんかのハラスメントにあたるやつなのでは?

後輩に無視されて凹んでいるパートナーを見た男は理不尽にもこう思った。
「僕のミラを悲しませるな」

翌日、嬉しそうに話す女と、少し怯えながら相槌を打つ男と、複雑そうな顔をした男の3人の会話する姿が見られたとか見られなかったとか。

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